平成28年度の総会資料の決算報告でご覧頂く通り、当期経常増加額(企業会計の経常利益に該当)は当初予想を大きく上回り、800万円強を計上しました。その大きな要因として、以下の3点を挙げることが出来ます。
① 会員数の増加(年間の新入会は70社)により、会費収入が堅調に推移。
② 大学生の就活支援や中学生のチャレンジマインド喚起など、次世代育成に関わる事業受託の効率的実施によって事務局人件費の圧縮が実現。
③ エルガーラビルへの移転による事務所家賃増を、他の一般管理費節減によりカバーしようという強い意識により健全運営に寄与。
これ等の達成は、新会員獲得に向けた「505012キャンペーン」の盛り上り、会員有志による受託事業への積極的ボランタリー参加、事務局員の献身的勤務などに支えられて初めて可能となったのですが、加えて副会長各位の適切なリーダーシップと関係委員会の熱意が相俟って、活気あふれる福岡中経協を実現しつつあることに誇りと喜びを覚えます。
去る4月下旬に、日銀は「景気は緩やかな拡大に転じつつある」と、9年ぶりに「拡大」の表現を用いました。明解なデフレ脱却宣言はないものの、様々な分野で新たなビジネスチャンスが生まれつつあるようです。かかる経済環境下で、福岡中経協は会員企業各社の将来に向けた発展を後押しすべく、今年度も以下の活動を重点的に推進して参ります。
① 経営者の学びの場充実
IT・IoTから古典・歴史まで、本気で学べる機会が用意されています。
更に、当会の3大イベントとして定着した「皇居勤労奉仕」「リアルアジア視察」「東日本大震災被災地慰問」への参加を通じて、深い学びをお約束します。
② 親睦からビジネス拡大へ
毎月の例会、各委員会での活動、各社の社員向けの交流等を通じて、親しい同志の輪が広がります。親睦――>信頼――>相互発展という善循環を築きましょう。
③ 人財育成支援で未来を拓く
次世代育成は中経協の大切な務めです。それに関わることで私たち自身も新たなエネルギーを恵まれ、活力ある未来の福岡作りへと導かれます。
④ 連合会や他の中経協との交流連携
4中経協合わせて、約1200社のパワーを結集すれば、成長の可能性は一層拡大します。連合会独自のユニークな取り組みへも大いに協力し、共存共栄を目ざしましょう。
昭和49年、オイルショックの只中で産声を上げた福岡中経協は、その後の目まぐるしい時代変化に様々な挑戦を重ねながら、7年後には創立50年を迎えます。「地域活性の牽引力 未来を拓く中経協」の将来像を探ろうと、藤井副会長を中心に「Road to 50 th」の提言をまとめて頂きました。これをきっかけに、より魅力あふれる中経協作りに忌憚ないご意見ご提案をお願いします。
今年度は役員改選期に当たり、引き続き理事をお務め下さる方々に加えて清新な顔ぶれも揃いましたので、特に各委員会の活動に大いにご期待ください。一方これまで全面的に会の事業運営を支えて下さった副会長方を始め数名の理事・監事が勇退されます。これまでのご尽力に改めて篤く御礼申し上げます。今般新たに「顧問」職を設け、4名の方にご就任頂きます。大所高所よりのご指導ご鞭撻をよろしく御願い申します。
ここで目を外に転ずれば、世界各地で地域の安定と発展を阻害する政治的・軍事的事変が頻発しています。とりわけ東アジアで、我が近隣諸国情勢が緊迫の度合いを深め、憂慮に堪えません。
北朝鮮の独裁政権の暴発は、予断を許さぬ段階にまで至り、韓国の新政権が我が国との友好同盟関係を改善する見込みは全く立ちません。加えて、南シナ海・東シナ海の覇権に向けた中国の攻勢から、国境離島を守り抜くのは容易ではないのです。
戦後の復興時期から常に経済発展を国策の第一義として来た日本は、七十年余を経た今、否応なしに「国家防衛」を最優先させるべき局面を迎えています。私たちも後進のため子孫のために、安全保障問題を自分事として考えるよう求められます。
とりわけこの福岡は、歴史的にも対外危機に即応する最前線と位置付けられ、古代には白村江の戦後に大野城や水城が、そして中世には元軍の再寇に備える防塁が築かれるなど、国土防衛に深く関わって来ました。
今後も一朝有事の際に、我が郷土がミサイルの飛来、難民の殺到、島嶼の攻防等々の主戦場とならない保証はありません。無闇に危機感を煽って平常心を失う愚は避けつつも、非常事態への心構えは固めておきたいものです。
緊急時に隣国在住の同胞を避難させたり、拉致された同胞を崩壊寸前の国から救出するという、国家として当然の主権発動さえ思うに任せぬ現状があり、それを縛っているのは現行憲法そのものなのです。ようやく現実味を帯びて来た憲法改正に向け、私たちの周りでも様々な機会を設けて、真摯な議論を進めて行きましょう。
福岡中経協が存在価値を存分に発揮するためには、何よりも会員各位の積極的なご参加が欠かせません。「楽しく、役に立ち、地域に貢献する」活動を実感頂き、その満足感を親しい経営者の方々にお伝え下さい。今年度も新会員を多数迎える福岡中経協であり続けたいと念じています。
平成29年6月
一般社団法人 福岡中小企業経営者協会
会長 山口 秀範