会長挨拶

平成三十一年を迎えて

会長 山口 秀範

 明けましておめでとうございます。元日からお天気も良く、皆さまお揃いですがすがしい新年をお迎えのこととお慶び申します。そして本日は福岡中経協の会員の皆様と、他中経協の幹部諸氏、そして九州経産局長・塩田康一様をはじめ各界を代表される方々にもご来臨賜って、盛大な「新年祝賀会」を開催出来ます事に心から感謝申し上げます。
 今年も「和風のおもてなし」を意識して、理事諸氏や事務局スタッフには和服を奨励し、筑前琵琶の演奏や和風の余興も用意しており、また「一月一日」の斉唱もございます。皆さまどうぞこの雰囲気を存分にお楽しみください。

 

 今年は、何と言っても平成が幕を下ろし、新しい年号を迎えるという新鮮な時を、国民が挙って体験する年に当たります。年号(元号)は今から千四百年近く前「大化」と定められて以来、「平成」までで二百四十七を数えます。前天皇のご譲位による新天皇のご即位は、江戸時代の光格天皇以来二百年ぶりで、その後は三十年前の昭和天皇までいずれも前天皇の崩御による改元という、云わば「悲しみの中でのご即位」が五代に亘って続きました。ですから、今回は心から新しい年号を喜ぶことが出来る稀有な御代替りとなる訳です。
ということで、「福岡中経協今年の一文字」は「替」としました。書家の浦岡香理事が年初から海外出張との事で、予め揮毫頂いたものをご披露します。二人の人が大声で引継ぎをしている姿が語源とのことです。交替、代替などと使われますが、勿論何もかもを替えるのではなく、多くの事柄は時代を超えて続いて行きますが、皆様方の事業も、この福岡中経協も、継続の途中で一歩歩みを止めて再点検を怠らず次の変化に備える心構えも必要でしょう。そんな思いを正月休みに一句詠んでみました。

 継続も心新たに御代替り

 さて内外の情勢は極めて流動的で、米中・EU・中東から近隣諸国まで、短期的にも長期的にも予測の難しい時代に向かっているようです。そうした世界の動きが私たちの地元経済に直結する現代、まさにグローバルな対応が求められています。そんな中で今年は春と夏に地方と国政を左右する選挙が控えております。一人一人の見識を問われると同時に、身近な周囲に向けて正論を発信し続けて、健全な世論作りに福岡中経協としても参画したく存じます。

 福岡中経協は今年で設立四十五年目を迎えます。既に五年後に向けた中期ビジョン「Road to 50th」を策定してありますが、①会員企業間の社員トレード研修 ②企業間コラボレーションによる新製品・新規事業立ち上げ ③中経協事務局会議室の無料貸し出しなど、実現に移されたものもあります。本年は挑戦のレベルを更に上げて、「メガベンチャー創出支援事業」に着手します。
我が福岡は創業特区に相応しく、相次ぐ起業(スタートアップ)で盛り上がりを見せています。しかしこの火種を燃え立たせて、全国的インパクトを与えるほどの企業誕生には未だ至っておりません。世界的に見ても評価額十億ドル超のメガベンチャー(ユニコーン企業と称される)はアメリカと中国に集中し我が国の退潮が危惧されています。この傾向を福岡から打破し、とりわけ我々の仲間からメガベンチャーを育てて行こうとの思いで本事業を開始します。
手始めにプラットフォームとなるwebサイトを立ち上げ、参加企業を募ります。やがては世界的企業の視察や著名経営者の招聘イベントなども計画し、まさに地域に根差しつつ世界を視野に事業展開するという気宇壮大さを福岡中経協で実現したいものです。ご関心をお持ちの皆様、どうぞ事務局をお訪ね下さい。

 AIやIoTが日常語となり、超スマート社会(ソサエティー5.0)の到来が喧伝されています。我々はそんな最先端の分野にも関心を持ち続け、福岡中経協でもさまざまな勉強の機会を提供しています。その一方でAIの判断力は厖大な過去のデータに左右されるとすれば、我々人間がAIに取って代わられない分野は、実は過去の歴史を学び、先人の生き方を偲ぶ感性にあることが確認されます。福岡中経協で古典に学び続けている意義はそこにあるのです。「イノベーションとクラシック」(最新技術と古典)の並立を今後も目指して参ります。

 元日の新聞に天皇皇后両陛下のお歌が八首発表されています。今年もそのうちの一首をご紹介して私のご挨拶を締めくくらせて頂きます。

 西日本豪雨
濁流の流るる様を写し出だすテレビを見つつ失せしをいたむ

 地震、水害など度重なる自然災害の中でも常に、困難な状況にある国民に心を寄せ続けて下さった天皇陛下に感謝の誠を捧げつつ、残る四ヶ月の平成と、それに続く八ヶ月の次の御代に精一杯取り組む一年にしたいと心新たにします。秋にかけて新天皇の宮中祭祀など、日本の国柄を改めて実感出来る稀なる年でもあり、お互いに元気で社業発展と地域振興に努めて参りましょう。

 福岡中経協は本年も年明け早々から各委員会を中心に活発な相互啓発・交流親睦そして社会貢献の事業を進めます。どうぞ本年も福岡中経協をよろしくお引き立て頂き、皆様方の積極的なご参加をお待ちします。年頭に当たりご挨拶申し上げました。

平成三十一年一月
一般社団法人 福岡中小企業経営者協会

会長 山口 秀範

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