ボランティア団体おもちゃ病院伊都国 代表
波多江 保彦 氏
1939(S14)年福岡県糸島郡(現糸島市)生まれ。
大学時代から東京在住で、1961(S36)年から2004(H16)年まで某電機メーカーに勤務し、電子装置の製品開発や事業企画業務などに従事。
専門分野は電気技術。
退職後の2005(H17)に家庭の事情で帰郷し、2007(H19)年に前原市(現糸島市)で子ども達の壊れたおもちゃを無料で修理するボランティア団体「おもちゃ病院伊都国」を設立。
地域社会教育賞 受賞
1. 受賞された活動を始めたきっかけ、また課題をどう捉えたか
ホームページ
電気技術者で手先も器用なので、昔から自分の子どもや孫のおもちゃが壊れたら即座に修理していましたが、平成18年に孫の「おじいちゃんはおもちゃのお医者さんだね」に触発されて、ボランティアのおもちゃドクターを始めることに致しました。
平成19年に糸島市でボランティア団体「おもちゃ病院伊都国」を設立し、「子どもフェスタ」と「波多江校区文化祭」に手応えを感じて本格的活動に進みました。
機械いじりが好きな技術者が集まって、治ったおもちゃを手にした時の子ども達の笑顔が嬉しくて始めたボランティア活動ですが、「子ども達の物を大切にする優しい心の育成や環境意識の啓発などに役立っている」と評価されるようなりました。
イベントでの出張開設の他に、平成20年度からは定期開設も加わって活動に弾みがついたものの、新たな課題も浮上しました。
まず直面したのがスタッフ(おもちゃドクターとナース)の充実で、次はおもちゃ病院を何時・何処で開設するかをお知らせする広報手段、そして活動資金の確保です。
スタッフの充実は、関心のありそうな人への声掛けや広報手段での呼掛け、広報手段はあちこちに案内チラシを配布する一方でホームページを開設して情報発信を始め、各種の行事や取材には積極的に協力しました。 活動資金は、修理依頼者にお願いしている「サンキュー募金」では足りないので、あちこちの補助金に助けられています。
2. 実行するうえで苦労されたこと、工夫されたこと、エピソードなど
目の前で修理
おもちゃ病院のスタッフは、あらゆるおもちゃの故障をその場で修理する技術力が求められるので、目標登録数10名に達したのは平成20年で、その頃はおもちゃ病院開設時の参加スタッフは7名前後でした。
私たちは、依頼者の目の前で修理するのが原則なので、一日の処理能力に限界があります。
能力を超えるご依頼があるのは嬉しいことだし、お持ちになったのにお断りするのは忍びないので、現在は修理予約制度を導入したり、一日の受付数を公表して超過分はお預かり(入院扱い)にしています。
実は、平成19年の「子どもフェスタ」で初めておもちゃ病院を開設した時には、スタッフ4名の体制なのに午前中だけで38件もの修理依頼が殺到し、多くのご依頼を積み残した経験があって、そこから生まれた知恵なのです。
もう一つの工夫は広報活動で、前述の案内チラシやホームページの他に、ツイッターやフェイスブックも利用して情報発信に努めた結果、最近はおもちゃ病院を開設の度に10個以上の修理依頼が集まるようになりました。
「おもちゃ病院の定着には、定期開設が効果的」との助言により、平成20年に近くの公民館で隔月の定期開設を始めた頃には、一件の修理依頼も無い日があったのですから、今とは隔世の感があります。
今は登録スタッフが25名に増え、おもちゃ病院開設時の参加スタッフも十数名になって一日の処理能力も向上したので、公表数以上の修理をこなしています。
3. 実行を通して波及した効果・影響など
おもちゃ修理体験学習
現在のおもちゃ病院定期開設は、年間18回となり、イベントでの出張開設約10回と合わせて、年間約30回に達し、平成24年の受付総数は約450個でした。
また、最近では、技術力・企画力・実行力を背景に、おもちゃ病院活動から発展した数々のユニークな活動も展開しています。
(1)小中学校でのおもちゃ修理体験学習
子ども達が自宅から持ち寄った壊れたおもちゃを、自ら修理する体験学習を指導。 生きた環境教育として注目されています。
(2)「おもちゃ箱」活動
不要になったおもちゃを引取り、点検整備して育児施設・福祉施設に寄贈。捨て難かったおもちゃの「リユース支援」としても評価されています。
(3)「かえっこ」とのコラボレーション
子ども同士で不要になったおもちゃをポイント交換する「かえっこ」とおもちゃ病院を同じ会場で同時に開催。リユースの相乗効果を高めています。
私たちは、自らの活動評価を自己満足に過ぎないのではないかと内心危惧していたのですが、平成22年度市民教育賞で社会的評価を得たので、全スタッフが自信を持って活動できるようになり、新たな発展に繋繋がっております。
平成24年度には福岡県共助社会づくり表彰の地域活動部門賞を受賞しました。受賞テーマは、「壊れたおもちゃの無償修理と不要おもちゃのリユース支援」です。
また、「小中学校でのおもちゃ修理体験学習」は、平成25年度朝日のびのび教育賞を受賞しました。
ボランティア団体おもちゃ病院伊都国 代表
波多江 保彦 氏
1939(S14)年福岡県糸島郡(現糸島市)生まれ。
大学時代から東京在住で、1961(S36)年から2004(H16)年まで某電機メーカーに勤務し、電子装置の製品開発や事業企画業務などに従事。
専門分野は電気技術。
退職後の2005(H17)に家庭の事情で帰郷し、2007(H19)年に前原市(現糸島市)で子ども達の壊れたおもちゃを無料で修理するボランティア団体「おもちゃ病院伊都国」を設立。